VoIP評価ツール VoIP
Checker V2.0.1 VoIP評価ツール VoIP
Checker V2.0.1
最近、ブロードバンドルータに接続するIP電話や、ソフトフォン(パソコンを使用したIP電話)が流行っていますが、ソフトフォンはブロードバンドルータにつながるIP電話よりも品質が均一ではありません。
それは、ブロードバンドルータに接続するIP電話は、ある決まったハードウェア(ブロードバンドルータ)に最適化されたソフトウェアが搭載されているのですが、ソフトフォンが動作するパソコンは、エントリモデルからハイエンドモデル、そして自作機まであり、その品質は同じではありません。
特に、サウンドカードやサウンドドライバは、それぞれのパソコンごとに異なってきます。
一般に拡張カードタイプ(通常は価格が高い)のものは、品質がよいのですが、オンチップのものは廉価版であるがゆえに、品質が悪い傾向があるようです。
VoIP Checkerは、そのサウンドカードの品質(目安)を評価するためのチェックツールです。
VoIP Checkerでは、「サウンドカードのクロックのずれ」をチェックします。
ブロードバンドルータに接続するIP電話や、ハードフォンは、正確に音声パケット(RTPパケット)を20msごとに送信し、また受信した音声パケットを正確に20msごとに再生します。
音声パケットの送信間隔を細かく調べると、多少の誤差(揺らぎ)はあるのですが、平均するとほぼ20msになっています。
一般にソフトフォンの音声パケットの送信間隔は、パソコンのサウンドカードのマイク録音周期に一致するため、「サウンドカードのマイク録音周期」と「サウンドカードの再生周期」のクロックのずれを調べれば、おおよその品質が分かります。(目安だと思ってください。)
V2.0からは、「録音タイミングのゆらぎ」も測定・評価するできるようになりました。(Windows Vistaでは、録音タイミングがゆらぐと報告が数多く上がっています。
VoIPには適していないOSなのかも、Vistaさん。(OSが改良されることを祈っています、マイクロソフトさん。)
上述の通り、VoIP Checkerは、「サウンドカードのマイク録音周期」と「サウンドカードの再生周期」のクロックのずれを評価するのですが、その評価の仕方の説明の前に、一般的なソフトフォンのVoIP音声処理の原理を解説します。
① ソフトフォンは、音声送信側ではマイクから録音したアナログ音声をディジタル変換後、それを音声パケットとして、ネットワークに流します。
② 音声受信側は、ネットワークからの音声パケットを受信用のバッファに溜めます。
③ 一般に、音声受信側では、このバッファにある程度たまってから、サウンドカードに音声再生要求を行います。
④ サウンドカードは、このディジタル音声をアナログに変換して、スピーカから音を出力します。
⑤ サウンドカードで音声再生が完了すれば、バッファに溜まっている音声パケットを削除します。
ここで、サウンドカードのクロックのずれ(品質)が関係してくるのは、主に②と⑤の部分です。
たとえば、音声送信側のパソコンのサウンドカードだけが品質が悪く、マイク録音のクロックがずれていて、本来は20msごとに録音完了すべきところ19.8msという風に早いと仮定しましょう。
この場合、音声受信側では、音声パケットの到着は送信側の録音周期と同期して、19.8msとなります。
バッファには19.8msの周期で音声パケットが溜まっていきますが、受信側のサウンドカードは質がよく20msごとに音声を再生するため、徐々にバッファに溜まっている音声パケットの量は増加していき、(バッファは有限のため)パケットを破棄しないと音声が再生しきれない状態に陥ります。
この際に破棄されたパケットが音とびとして、受信側では聞こえることになります。
バッファの量が多いと再生までに時間がかかり、音声遅延の原因となりますが、遅延を抑えるためにバッファの量を少なくするとすぐにバッファをオーバフローするため、音とびのタイミングが短くなり耳障りとなります。
→ 音声送信側のパソコンのサウンドカードのマイク録音のクロックが早ければ早いほど、受信側のバッファは早くオーバフローするため、音とびのタイミングが早くなります。
一方、送信側は正常だが、受信側の再生クロックが早い場合を考えてみましょう。
この場合は、20msごとに音声パケットがバッファに溜めていかれるのですが、受信側のサウンドカードの再生クロックが早く、バッファに溜められるタイミング以上に音声パケットを削除するタイミングが早くなり、バッファの音声パケットは枯渇し、再生する音声パケットがなくなり、音と音の間に隙間があきます。つまり、これも音とびとして聞こえます。
これらに加えて、V2.0より、録音周期のゆらぎを評価するようにしました。
録音時の録音周期が一定に近ければ(ゆらぎが少なければ)、相手に一定間隔で音声パケットを送信することができますが、ゆらぎが大きいと、音声遅延が発生したり、最悪の場合頻繁に相手側で音トビを発生させることになります。
VoIP Checkerでは、「サウンドカードのマイク録音周期」と「サウンドカードの再生周期」のクロックを測定して、そのサウンドカードをもつパソコンでソフトフォンを動作させた場合どういう症状を引き起こし易いかを、判定します。
録音周期、再生周期とも、３段階のレベルを設けており、両者を組み合わせて、１０～０までの１１段階でレベル評価します。
一応、レベルの基準については、以下の基準を設けています。
優 ：20msと比べて、誤差が0.2%以内
良 ：20msと比べて、誤差が1.0%以内
不可：20msと比べて、誤差が1.0%以上
また、ゆらぎ度を10を境にして評価しており、10以下であれば品質良好、10超過であれば、品質不良として評価しています。
ネットワーク上でも、伝送上のゆらぎが発生しますが、この録音時のゆらぎが重なると、更に受信側で受信タイミングのゆらぎがひどくなり、耳障りな音となってしまいます。
このVoIP Checkerの公開の主旨は、パソコンによってサウンドカードの品質(性能)が悪く、VoIP用途には必ずしも適していないいものがあることをパソコンさんが認識していただき、自社のパソコンがそういう使われ方もするのだということで、サウンドカードの品質(性能)の向上に取り組んでいただければと思ったためです。
パソコンメーカさんがそういうことを認識していただくためには、実情を公開することが重要であると思い、そのネタとなる情報収集をするために、このVoIP
Checkerを開発しました。
したがって、このVoIP Checkerをご使用になられた方は、測定したデータを私までメールにて送付していただければと思います。
→ メールに添付または、メール本文への測定データの貼り付けをしただけると助かります。
ある程度データが溜まれば整理して、私のホームページで公開していく予定です。お楽しみに。
私のメールアドレスは、kouji.japan@nifty.com です。